SMART BRAIN
-MASKED RIDER-

仮面ライダー555
-STORY-
第8話
夢の守り人・後編 -3/16放送-


和彦に出会い、復讐をしばし忘れる直也。心配しやって来た結花にも「気が乗らん」と、あっさり答え安心させる。だが、直也の根底にある人間への憎しみは変わっていなかった。その気持ちは、馬鹿にされたという理由以上に、事故の本当の原因に拠っていた。「ただの事故じゃなかった・・・」。アパートを追い出され、結局、勇治のマンションに転がり込んできた直也は、2人を前に、忌わしい過去を語りはじめる。
ある日、バイクで走行中の直也は突然バランスを崩し転倒、後続の車に左手を轢かれギタリスト生命を失う。後日、バイクからは事故を仕組んだとみられる痕跡が発見される。才能を妬んでの凶行。直也は、夢を持ったことがないという勇治に、夢を奪われた人間の苦しみを吐き出していく。「夢ってのは呪と同じなんだよ」。その呪を解くには夢を叶えなければならない、しかし、自分のように道を断たれた人間は、ずっと呪われたままだ・・・と。
一方、和彦の説得には失敗し、オルフェノクをも取り逃がした巧たちは、仕方なく一時帰宅。すると、家にはひどく機嫌の悪い真理が待ち受けていた。美容師の課題をクリアできず、巧に八つ当たりする真理。さすがの啓太郎も真理をなだめられず、結局、真理は家を飛び出していってしまう。巧は、真理をはじめ、啓太郎や和彦のように“夢”を一途に追い掛ける気持ちを、素直には受け入れられないでいた。だが、ひとり夜の公園で泣いている真理を向かえに現れたのは、その巧だった。帰路につきながら、巧は真理に聞いてみる。「なんでそんな一生懸命なんだ?」。時々すっごい切なくて、すっごい熱い。夢を持った人間の気持ちを、そう表現する真理。巧はいまいちピンとこない様子だが・・・。その時、2人の背後に一瞬、怪しい影が揺れ、消える。
翌日、真理は再試験のため、もう一度美容室へ。窓外には、真理に気付かれないよう、密かに見守る巧の姿があった。真理は、努力の甲斐あり見事に課題をクリア。感激の真理。巧も思わず笑みを浮かべる。
そのころ音楽院では、結花が駐輪場で不審な行動の男を見つけていた。「また、教え子の才能を潰すつもりですか?」。その言葉に絶句する男は直也の恩師、この学院の教授であった。彼は、和彦のバイクに何かを仕掛けようとしていたのだ。直也の時と同じように・・・。一瞬の驚愕の後、不敵な笑みを浮かべた教授は、なんとオウルオルフェノクに変化、結花に襲いかかる。だが結花は、超人的ジャンプで攻撃を交わし、素早く姿を消すのだった。
その日の夕方、教授の前には、結花の代わりに勇治が姿を現わす。直也の無念さを、彼の言葉を借りて語りはじめる勇治。「夢っていうのは呪と同じなんだ。途中で挫折した者はずっと呪われたまま・・・らしい」。夢に呪われ続ける人間を生み出した教授の罪は重い。勇治はホースオルフェノクへと変化すると、罰を課すべく、同じく変化したオウルオルフェノクと対峙していく。
同じ頃、美容室帰りの真理を狙い現れたスカラベオルフェノクの前には、巧が立ちはだかっていた。昨晩から不審な影を感じていた巧は、音楽院でのオルフェノク探しは啓太郎に任せ、真理の護衛にあたっていたのだ。巧には、夕べの真理の言葉が心に残っていた。「『夢を持つと、時々すっごい切なくて、時々すっごい熱くなる』・・・らしいぜ。俺には夢がない。でもな、夢を守ることは出来る!」。言うと同時に変身した巧は、ファイズとなりオルフェノクに戦いを挑んでいく。
別々の場所で繰り広げられた戦闘は、激しい攻防の末、ホースオルフェノクとファイズが勝利を得る。こうして真理の夢は守られ、そして直也の呪は・・・。
直也は結花にせがまれ、勇治の部屋でギター演奏を披露していた。輝かしき才能の残照が、一瞬きらめく。だが、やがてその指は硬直、演奏が止まる。「これまでだ」。その言葉にはどこか納得の色が滲む。直也に、ようやくギターとの決別の時が訪れたのだ。「俺の代わりに弾いてくれる奴が出来たから・・・」。


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